やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、この献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。
このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。
ご高齢の方は、暑さによる食欲低下や脱水で夏バテしやすくなります。
今日の牛丼セットは、やわらかく食べやすい食材と、体力を補う栄養がしっかり入った献立です。
この一食が、皆さんの夏の元気を少しでも取り戻す力になればと願っています。
本日の昼食は、彩り豊かな牛丼セットでした。
- ・牛丼(紅生姜添え)
- ・あられ入り味噌汁
- ・ごまドレッシング和えのごぼうサラダ
- ・きゅうりの浅漬け
- ・チョコ風味プリン
- ・冷たいお茶
温かい主食とひんやりデザートの組み合わせが、夏の食欲をそっと後押ししてくれます。
栄養から見た元気のひみつ
- 牛肉:良質なたんぱく質と鉄分が豊富で、筋力維持や貧血予防に。
- ごぼう・人参:食物繊維が腸内環境を整え、血糖の急上昇を防ぎます。
- 味噌汁:発酵食品で腸内の善玉菌をサポート。
- 紅生姜:消化促進と食欲増進。
- 漬物:発酵による乳酸菌補給。
バランス良く、しかも噛む食材と柔らかい食材が混ざっており、高齢の方にも食べやすい工夫があります。
東洋医学からのやさしいまなざし
東洋医学では、牛肉は「補気・補血」の食材。体力をつけ、血を養い、冷えや疲れを改善するとされます。味噌は「脾胃を温める」作用があり、夏の冷たい飲食で弱った消化器をいたわります。紅生姜は体内の「湿(余分な水分)」をさばき、胃腸の動きを助けます。
特に夏は、外は暑くても内側(胃腸)は冷えやすく、消化力が低下しがちです。牛肉の「甘味・温性」は、その冷えた胃腸をやさしく温め、栄養をしっかり吸収できる状態に整えてくれます。汗で失いやすい気血を補い、夏バテの回復にもつながります。
比喩でいえば、夏の体は外気で火照った車のボディに似ていますが、エンジンルーム(胃腸)は冷房で冷え気味です。牛肉はそのエンジンを温め直し、燃料(栄養)をしっかり燃やせるようにしてくれる食材です。
薬膳の豆知識
薬膳では、食材を「五味(甘・辛・酸・苦・鹹)」と「性質(寒・涼・平・温・熱)」で分類します。 今日の献立でいえば:
- 牛肉:甘味・温性(体を温める)
- ごぼう:甘味・平性(バランスを取る)
- 味噌:鹹味・温性
- 生姜:辛味・温性(巡りを良くする)
これらを組み合わせることで、単なる栄養補給以上に「体質や季節に合った食養生」ができます。
暑い日におすすめ
暑さが続くと、どうしても食欲が落ちたり、体がだるくなりがちです。 今日の牛丼セットは、そんな夏のからだをやさしく支えてくれる工夫がたくさん詰まっています。
栄養学的には、牛肉のたんぱく質と鉄分で体力を補い、味噌や漬物の発酵食品が腸を元気にして免疫力をサポート。汗で失われやすいミネラルも、野菜や味噌汁から自然に補えます。
東洋医学では、牛肉や味噌、生姜は「胃腸を温める」性質があり、冷たい飲み物やエアコンで弱った消化機能を整えてくれます。紅生姜は湿気をさばき、体の重だるさを軽くします。そして、味噌汁に浮かぶ色鮮やかなあられは、目にも涼しく、心をほっと和ませる彩りです。
まさに「夏の養生ごはん」。食べやすさと見た目の楽しさの両方で、暑さに負けない元気を届けてくれる献立です。
食卓の彩りがくれる癒やし
味噌汁に浮かぶ色とりどりのあられは、小さな花のよう。 食事は栄養だけでなく、目で見て楽しむことも大切です。 こうした“ひとさじの彩り”が、入院生活や療養の気持ちを明るくしてくれます。
ごちそうさまでした
東洋の考え方では、食事は“命の灯”に油を注ぐようなもの。
気(エネルギー)と血を満たすことで、体の中の小さな灯火が、またやさしく燃え始めます。
この一食が、皆さんの夏の元気を呼び覚まし、心と体にひとすじの光を届けてくれることを願っています。
暑い日が続きますが、素敵な食事に心がけて健康でいてください。
【注釈】
各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状や治療については必ず主治医にご相談ください。