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2025.09.16

東洋病院 今日の献立 第5回

「心も身体もほぐれる日、誕生日を祝う優しい献立」

 

今日のごはんは、やさしい和と洋の味

本日の病院食は、どこか懐かしさを感じる和のメニュー。

ご飯(小盛り)に、香り豊かな鴨だしそばを主菜とし、煮物(焼き豆腐・大根・椎茸)と、オクラのごま和えを添えました。

デザートには、デイケアでの誕生会でふるまわれたケーキをおすそわけ。

みなさんが誕生日を迎えられる喜びを分かち合う、あたたかい気持ちが添えられています。

冷たい麦茶とともに、季節の移ろいを感じる一食となりました。

体がよろこぶ、バランスごはん

鴨肉は高たんぱく・低脂肪で、ビタミンB群や鉄分を含み、貧血予防や代謝サポートに適した食材です。 そばは良質な炭水化物源でありながら、食物繊維やルチン(毛細血管を守る働きがある抗酸化物質)を含んでいます。 副菜のオクラは水溶性食物繊維が豊富で、整腸作用や血糖値の急上昇を抑える働きも。 煮物は出汁をきかせて塩分を控えつつ、焼き豆腐で植物性たんぱく質を補給。 全体として、消化に優しく栄養バランスのとれた内容になっています。

 

季節のうつろいに寄り添う、からだへの思いやり

東洋医学では、鴨肉は「補陰」作用があるとされ、体内の潤いを補って肺を守る食材です。 秋は燥邪(そうじゃ)(外からの乾燥の邪気)が盛んになり、空咳や乾燥肌・便秘傾向が増える季節とされます。潤い補う食事が養生法の一つです。この時期に鴨肉やオクラといった潤いを与える食材を取り入れることで、燥邪の影響を和らげることができます。オクラは水溶性食物繊維(ペクチン)含有が多く、薬膳的に「潤腸通便」や体を潤す効能と説明されています。また、温かい鴨だしは胃腸を温め、冷えによる不調を防ぐ効果も期待できます。「温性」(温める性質)を持つ食材・料理が胃腸冷えや食欲低下対策として推奨され、温かい汁物・だしは実際に胃腸ケアとみなされます。

 

ちょっと気になる、食材のひみつ

薬膳では「五味(酸・苦・甘・辛・鹹)」と「五性(寒・涼・平・温・熱)」の食材分類があります。五味は五臓(肝・心・脾・肺・腎)との関係性を重視し、五性は食材の温冷特性で季節や体調に合わせた使い分けを推奨します。

たとえば、鴨肉は「甘味・平性」に分類され、体をやさしく潤す作用があり、乾燥や疲れが出やすい時期に適した食材です。

そばは「涼性」で、体にこもった余分な熱を冷ます働きがあるとされ、残暑の厳しい今の時期にぴったり。体にこもった余熱をとり、特に夏バテや消化不良、便秘対策に用いられる食材です.

夏の名残と秋の入り口が重なるこの季節、こうした食材の組み合わせが体内のバランスを整える助けになります。季節と体調・体質・食材の組み合わせが体のバランス調整に寄与するというのが薬膳の基本理念です

 

一口に、やさしさを込めて

湯気の立つ鴨そば、やさしく煮含められた大根、そして一切れの誕生日ケーキ。 デイケアでの誕生会から届いたケーキは、みなさんの「おめでとう」の気持ちが込められた、幸せのおすそわけです。 誰かの喜びを分かち合える一口は、何よりのごちそうかもしれません。

 

今日も心と体がほっとしますように

日中はまだ汗ばむ残暑が続きますが、空の色や風の中には少しずつ秋の気配が感じられます。 どうぞ体と心にやさしい時間を過ごされ、誰かの喜びを分かち合う日々が、皆さまの健やかさと温かさにつながりますように。

 

【注釈】

各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状や治療については必ず主治医にご相談ください。

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