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2025.09.22

東洋病院 今日の献立 第6回

「栄養と癒しをそっと届ける一膳」

やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。

このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。

 

湯気の向こうのきょうの一膳

本日の病院食は、ご飯(小盛り)・カレーうどん・煮物(がんもどきと人参)・いんげんのごま和え・フルーツ寒天 です。 主食はご飯とカレーうどんの二種類があり、やさしい味つけの煮物と香ばしいごま和えが食卓に彩りを添えています。デザートには、さっぱりとしたフルーツ寒天が付き、口直しにぴったりです。

からだに流れるやさしい栄養譜

カレーうどんはエネルギー源となる炭水化物が豊富で、さらに玉ねぎやネギなどの野菜からビタミンや食物繊維を摂ることができます。煮物のがんもどきは植物性たんぱく質を含み、消化にやさしく、ごま和えはミネラルと抗酸化作用を持つ成分を含んでいます。いんげん自体にもミネラル(カリウム・マグネシウム・カルシウム)と抗酸化成分(β-カロテン・ビタミンC)があります。ごまにはセサミンなど抗酸化物質が含まれ、老化防止作用や肝機能改善が期待できます。フルーツ寒天は食物繊維を補い、食後の血糖上昇をゆるやかにしてくれます。「ビタミンC」は強い抗酸化作用があり、細胞の老化防止・免疫力強化・コラーゲン生成促進など、多方面で健康維持に役立つ栄養素です。

 

ビタミンCの主な効用として以下が挙げられます。

  • ・細胞の酸化(老化)予防:活性酸素による細胞障害を防ぎ、動脈硬化・心筋梗塞・がんなどの疾患予防に有効とされています。
  • ・免疫機能の強化:白血球の働きを助け、感染症や病気への抵抗力を高めてくれます。
  • ・コラーゲン生成促進:皮膚・血管・骨など体の組織維持に不可欠なコラーゲンの合成に関与し、傷の修復や美肌効果につながります。
  • ・メラニン生成抑制:シミやそばかす、日焼けの予防にも働くため美容効果も認知されています。
  • ・植物性食品からの鉄吸収促進:鉄分が吸収されやすくなり、貧血予防にも役立ちます。

 

季の息を聴く、医師のまなざし

スパイスのはたらき カレーのスパイスは、東洋医学では「気(=からだを動かす元気)」のめぐりをよくし、からだをほどよく温めると考えられています。 いまは秋でも暑さが残る時期。冷たい飲み物・食べ物が続くと胃腸が疲れやすいので、あたたかいカレーうどんのように消化にやさしい一品が助けになります。熱すぎず、からだをじんわり整えるイメージです。

季節の食べ方のコツ 東洋医学では、からだの状態を「気・血・水(元気・血のめぐり・水分の流れ)」で考えます。バランスを保つために、次のポイントを意識しましょう。

  • ・旬をえらぶ:秋は鶏肉・鮭・お米・大豆・いんげん・山芋など、胃腸を養う食材がおすすめです。
  • ・あたたかい料理を中心に:冷たいものは控えめにして、胃腸の負担を軽くします。
  • ・うるおい補給:乾きやすい季節は、きくらげ・山芋・梨・白ごまなどでのどや皮ふのうるおいを守りましょう。
  • ・よく噛んで腹八分:食べすぎを控え、ゆっくり噛むと胃腸にやさしいです。

 

漢方(かんぽう)について 体質や症状に合わせて用いると助けになることがあります。以下は例です。

  • ・元気が出ない・胃がもたれる:補中益気湯、六君子湯など。
  • ・イライラや気分のゆらぎ:加味逍遙散など。
  • ・血のめぐり・冷え・むくみ:四物湯、桂枝茯苓丸など。

 

暮らしの養生(ようじょう)

  • ・下半身を冷やさない:薄手でも一枚重ねると安心です。
  • ・こまめに水分:常温の水や麦茶を少しずつ。
  • ・無理のない運動と休養:散歩やストレッチと十分な睡眠で、気・血・水のめぐりを整えます。

 

たいせつなお願いです。漢方は独りで始めないでください。

持病やお薬との飲み合わせで、体に合わないことがあります。

当院は漢方も専門です。ご不安があれば、どうぞご相談くださいね。

 

おわりに残暑をわたる風に寄せて

湯気の立つカレーうどんは、心をほっとさせる小さな灯りのよう。 香りに癒やされ、ひと口ごとに安心が広がります。

季節の変わり目は、体調をくずしやすい時期です。 やわらかく煮たうどんや煮物は消化にやさしく、無理のない栄養補給になります。 よく噛む・腹八分目・ゆっくり食べるを心がけましょう。

水分はこまめに少しずつ。麦茶や常温の水などがすすめやすいです。 食物繊維も忘れずに。野菜、きのこ、海藻、果物を少量ずつ毎日とると、お通じが整いやすくなります。

残暑が続きますが、食事でからだを整え、休養をしっかりとって、元気にお過ごしください。 気になることがあれば、必要に応じて主治医にご相談ください。

 

【注釈】

各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状や治療については必ず主治医にご相談ください。

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