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2025.11.25

東洋病院 今日の献立 第15回

季節の変わり目を乗り切る「焼肉盛り合わせ献立」の栄養バランス

 

やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。

このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。

 

からだにやさしい本日の一膳

皆様、いつもお元気でお過ごしでしょうか。当院のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

さて、本日ご紹介するのは、一日の活力をしっかりと支える、ちょっぴりボリューム感のある献立です。今日のメインは、「焼肉盛り合わせ」をご用意いたしました。

病院の献立というと、「薄味で物足りないのでは」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、当院では、体に必要な栄養素をバランス良くお摂りいただきながら、皆様に「美味しい」と感じていただけるよう、調理方法や味付けに工夫を凝らしています。

今日の主役である焼肉は、豚肉や鶏肉を使い、玉ねぎや椎茸などの野菜と一緒に、甘辛く、ご飯がすすむ優しい味付けで仕上げました。お肉は、皆様が食べやすいように、やわらかく煮込むように調理しています。香ばしい香りが、食欲をそそりますね。

これに加えて、主食として「ご飯」が添えられています。エネルギーの源であるご飯は、体力の維持に欠かせません。

また、副菜には、彩りもきれいな「春雨サラダ」をご用意しました。春雨のツルツルとした食感と、もやし、にんじん、きゅうりなどのシャキシャキとした野菜の組み合わせが楽しい一品です。さっぱりとした味付けで、お口の中をリフレッシュしてくれます。

汁物には、野菜たっぷりの「わかめ中華スープ」を添えました。わかめのミネラルや、にんじん、葉物野菜のビタミンなどが溶け出したスープは、体を温め、胃腸に優しい一品です。

そして、食後の楽しみとして、「りんごのコンポート(シロップ漬け)」をご用意しました。りんごをシロップで優しく煮込んだコンポートは、生のりんごよりもやわらかく、消化にも負担がかかりにくいのが特徴です。口の中に広がる優しい甘さと、つるりとした口当たりは、食後の満足感を高め、気持ちを穏やかにしてくれます。

この一食で、皆様の体が喜ぶ栄養を、美味しく、楽しくお摂りいただければ幸いです。

エネルギーと栄養のバランス解説

私たちが健康を維持していくためには、様々な栄養素をバランス良く摂ることが大切です。今日の献立は、特に高齢の方や、体調を整えたい方に嬉しい栄養学的なポイントがたくさん含まれています。

  1. 体力と免疫力の土台となる「たんぱく質」

メインの焼肉盛り合わせには、牛肉や鶏肉が含まれています。これらは、私たちの体力や免疫力の土台となる「たんぱく質」の宝庫です。

たんぱく質は、筋肉や骨、血液、皮膚、そして病原体と戦う免疫細胞など、私たちの体のほとんどの部分を作る大切な材料です。特に高齢になると、食が細くなったり、消化吸収の力が落ちたりして、たんぱく質が不足しやすくなると言われています。たんぱく質が不足すると、筋力が低下したり、疲れやすくなったり、風邪をひきやすくなったりする原因になりかねません。

当院では、お肉を適度な量と、食べやすい調理法で提供することで、必要な良質なたんぱく質をしっかりと摂っていただくことを大切にしています。

  1. 消化を助け、腸内環境を整える「食物繊維」

春雨サラダには、もやしやにんじん、わかめ中華スープにはわかめや葉物野菜など、豊富な食物繊維が含まれています。

食物繊維は、私たちの消化吸収を助ける大切な役割を持っています。特に、腸内環境を整え、お通じを良くする働きが期待できるため、便秘になりやすい高齢の方にとっては、非常に重要な栄養素です。

また、スープの玉ねぎやきのこ類などの食材は、一緒に煮込むことで消化しやすくなり、胃腸に負担をかけすぎずに栄養を摂ることに繋がります。

  1. 補給したい「ミネラル」と「水分」

わかめやその他の野菜には、ミネラルやビタミンがバランス良く含まれています。ミネラルは、体の調子を整える大切な役割を持っており、汗などで失われがちな栄養素です。

また、温かいスープは、食事と一緒に水分を補給する役割も担っています。特に、ご高齢の方はのどの渇きを感じにくくなることがあるため、お食事を通して自然に水分を補給することは、脱水予防の点からも非常に大切です。

今日の献立は、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、そして水分が、とても良いバランスで組み合わされています。それぞれの栄養素が、お互いに助け合いながら、皆様の体の回復と健康をサポートしてくれるはずです。

 

季節と食養生—本日のメニューを読み解く

西洋医学的な栄養の観点だけでなく、東洋医学的な考え方も取り入れることで、より深く、体と向き合うことができます。東洋医学では、季節の移り変わりと、私たちの体の状態が密接に関連していると考えます。

  1. 東洋医学から見た「焼肉盛り合わせ」の役割

この献立のメインであるお肉料理は、東洋医学でいう「気(き)」と「血(けつ)」を補う働きがあると考えられます。「気」は、私たちが生きていくためのエネルギーや活力を、「血」は、全身に栄養と潤いを運ぶ血液やそれに近い概念を指します。

お肉は、この「気」と「血」を力強く補い、体を温め、スタミナを回復させる作用があるとされています。特に、病気からの回復期や、手術の後など、体力が落ちている時には、良質なたんぱく質をしっかりと摂ることで、体の底力を高める助けになります。

消化しやすく煮込んでいる点も、東洋医学で大切にする「脾胃(ひい)」、つまり胃腸の働きを助ける工夫です。

  1. 季節の不調と食の養生

今は、季節の変わり目や、少しずつ寒暖差が出てくる時期ではないでしょうか。こうした時期は、私たちの体が環境の変化に対応しようと頑張るため、自律神経のバランスが乱れやすく、疲れを感じやすい、眠りが浅くなる、食欲がなくなるといった不調が出やすいとされています。

このような時こそ、今日の献立のように、栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂ることが、一番の薬膳、つまり食の養生になります。

五味(ごみ)のバランス: 今日の献立は、メインの甘辛い味(甘味)と、春雨サラダのさっぱりとした味(酸味や辛味)、スープの塩味(塩味)など、多様な味がバランス良く含まれています。東洋医学では、偏りなく様々な味を摂ることが、体の臓器を整えることに繋がると考えられています。

温かいスープの力: 温かいわかめ中華スープは、胃腸を内側から温め、「気」の巡りをスムーズにする手助けをしてくれます。体が温まることで、リラックス効果も高まり、心身の緊張を和らげることにも繋がるとされています。

当院の病院食は、単にカロリーや栄養価を計算しているだけでなく、皆様の体が季節の変化に負けず、穏やかに過ごせるよう、食材の組み合わせや調理法を工夫しているのです。

 

食卓からの小さなエール

ご高齢の皆様におかれましては、体調の変化を感じやすい時期かと思います。

「最近、食欲がないな」「なんとなく体がだるいな」と感じる日もあるかもしれません。しかし、無理にたくさん召し上がる必要はありません。一番大切なのは、「食べられるものを、食べられる量だけ、規則正しく」口にすることです。

今日の献立は、栄養価が高く、食べやすいように配慮されています。

もし、お肉を噛むのが少し大変だと感じたら、スープやデザートから召し上がっていただいても構いません。ご飯の量を減らして、おかずやスープを優先して召し上がるのも一つの方法です。

お食事の形態について、ご心配やご希望があれば、遠慮なく主治医や看護師、管理栄養士などの担当スタッフにご相談ください。皆様一人ひとりの状態に合わせて、きざみ食やとろみ食などの対応をさせていただいています。

食欲がない時は、温かいスープや香りの良い料理から少しずつ口に運ぶことで、胃腸が刺激され、食欲が戻ってくることがあります。今日の焼肉の香ばしい匂い、そして温かいスープの優しい味が、皆様の食欲をそそるきっかけになればと願っています。

また、これから寒さが増す季節を迎えます。体を冷やさないよう、温かい服装を心がけ、無理せず、ゆったりとした気持ちでお過ごしください。そして、食事を美味しく楽しむことが、何よりの心の栄養になります。

 

皆さまの健やかな毎日に寄せて

季節は移ろい、木々も少しずつ色づき始めています。秋の深まりとともに、朝晩の冷え込みも増してまいりました。

皆様におかれましては、この季節の変わり目、どうぞご自愛なさいますよう、心よりお祈り申し上げます。今日のお食事が、皆様の心と体を支え、穏やかで健やかな毎日へと繋がりますように。

 

【注釈】

※各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

※本記事は一般的なお話であり、個々の診断や治療に代わるものではありません。食事制限や気になる症状がある場合は、必ず主治医や担当スタッフにご相談ください。

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