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2025.12.08

東洋病院 今日の献立 第17回

心も体も温まる、手作り煮込みハンバーグの献立

 

やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。

このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。

 

からだにやさしい本日の一膳

こんにちは。 病院の窓から見える木々の色も変わり、季節の移ろいを感じる頃となりました。 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

病院での生活において、食事は治療の一環であると同時に、日々の大きな楽しみの一つでもあります。 厨房からは、今日も食欲をそそる良い香りが漂ってきました。 今回は、当院の献立をご紹介しながら、少しだけ医学や健康についてのお話をさせていただきたいと思います。

本日のメインディッシュは、皆さまから大変ご好評をいただいている「煮込みハンバーグ」です。 写真をご覧いただくとわかりますが、ふっくらとしたハンバーグに、特製のソースがたっぷりと絡んでいます。 付け合わせには、鮮やかなオレンジ色の人参と、緑色が美しい絹さやを添えました。

主食は、白く輝く炊きたてのご飯です。 副菜には、まろやかな味わいのマカロニサラダをご用意しました。 そして汁物は、口当たりがなめらかで優しい甘みのあるポタージュスープです。

お食事の最後には、さっぱりとしたフルーツポンチで、お口直しをしていただければと思います。 余談ですが、実は私、フルーツポンチが大好物なのです。先週に続いての登場となりましたが、個人的にはとても嬉しく、献立表を見て思わず顔がほころんでしまいました。

全体的に、彩り豊かで目でも楽しめると同時に、噛む力が弱くなっている方でも食べやすいよう、食材の柔らかさにとことんこだわった献立となっています。 温かいものは温かいうちに、ぜひゆっくりと味わってください。

 

エネルギーと栄養のバランス解説

さて、今日のメニューには、体を元気にするための栄養学的な工夫がたくさん詰まっています。

まず、メインのハンバーグです。 お肉には「タンパク質」が豊富に含まれていることは、皆さまもよくご存知かと思います。 タンパク質は、私たちの筋肉や血液、そして免疫細胞を作るための大切な材料になります。 病気や怪我からの回復期にある体は、普段よりも多くのタンパク質を必要としているといわれています。 お肉をミンチにしてハンバーグにすることで、消化吸収が良くなり、体に負担をかけずに効率よく栄養を取り入れることができます。

次に、ポタージュスープです。 野菜や牛乳などを煮込んで裏ごししたスープは、胃腸に優しく、速やかにエネルギーへと変わります。 温かいスープを飲むことで、胃の血流が良くなり、その後の消化活動がスムーズになるとされています。

また、ご飯やマカロニに含まれる炭水化物は、脳と体を動かすためのガソリンのような役割を果たします。 そして、デザートのフルーツにはビタミン類が含まれており、体の調子を整える手助けをしてくれます。 このように、一食のトレーの中には、体が回復するために必要な栄養素がバランスよく配置されているのです。

 

季節と食養生—本日のメニューを読み解く

ここからは少し視点を変えて、東洋医学的な考え方も交えてお話ししましょう。

東洋医学には「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉があります。 これは、病気を治す薬と、普段の食事は、その源は同じであり、日々の食事が健康の基本であるという考え方です。

今回の献立にある「煮込み料理」や「ポタージュ」などの温かい食事は、東洋医学でいう「気(き)」、つまり生命エネルギーを補うのに適していると考えられています。 冷たい飲み物や食べ物は、時に胃腸の働きを鈍らせてしまうことがありますが、加熱調理された温かい食事は、内臓を温め、全身の巡りを良くする手助けをしてくれます。

また、付け合わせの人参などの根菜類は、体を内側から温める食材として知られています。 季節や体調に合わせて、体を冷やさない食材を選び、調理法を工夫することは、養生(ようじょう)の基本といえるでしょう。 ハンバーグのソースに使われているトマトなどの酸味も、唾液の分泌を促し、消化を助ける働きが期待できます。 西洋医学の栄養バランスと、東洋医学の体を温める知恵。 この両方が合わさることで、私たちの自然治癒力は静かに、しかし力強く支えられているのです。

 

食卓からの小さなエール

入院生活や療養生活が続くと、どうしても食欲が湧かない日があるかもしれません。 あるいは、お口の中の乾燥や、飲み込みにくさを感じて、箸が進まないこともあるでしょう。 そんな時は、どうか無理をなさらないでください。

全部を食べきることが目標ではありません。 まずは、温かいお茶やスープを一口飲んで、お腹を温めてみてください。 それから、お好きなおかずを少しずつ、よく噛んで召し上がってみてください。 よく噛むことは、唾液をたくさん出して消化を助けるだけでなく、脳への良い刺激にもなり、心身のリフレッシュにもつながるといわれています。

また、食事は「五感」で楽しむものでもあります。 ハンバーグの湯気、人参の色、ポタージュの香り。 そうしたものを感じるだけでも、脳の視床下部にある摂食中枢が刺激され、体に「これから栄養が入ってくるよ」というサインが送られます。 もし、量が多すぎると感じたら、残していただいても構いません。 「美味しかったな」「温かかったな」という満足感を、何より大切にしていただければと思います。 ご自身のペースで、ゆっくりと食事の時間をお過ごしください。

 

皆さまの健やかな毎日に寄せて

冬の寒さが本格的になってまいりましたが、温かい食事で体の中から熱を作り出し、この季節を健やかに乗り切っていきましょう。 厨房スタッフ一同、心を込めて作った食事が、皆さまの明日への活力となりますように。 そして、一日も早いご回復と、穏やかな日常が戻りますことを、心よりお祈り申し上げます。

 

【注釈】

※各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

※本記事は一般的なお話であり、個々の診断や治療に代わるものではありません。食事制限や気になる症状がある場合は、必ず主治医や担当スタッフにご相談ください。

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