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2025.12.22

東洋病院 今日の献立 第19回

心も体も温まる肉じゃがと、幸せのお裾分けケーキ

やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。
このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。

寒さが少しずつ深まり、温かいお茶が恋しい季節となりました。 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。 病院での食事は、治療の一環であると同時に、日々の生活に彩りを添える大切な時間でもあります。 本日は、ある日の昼食のお膳をご紹介しながら、そこに含まれる栄養や、医師として感じた「食と心のつながり」についてお話しさせていただきます。 今回は、とても温かいエピソードが詰まった、少し特別な献立です。

① からだにやさしい本日の一膳
お膳に並んだ料理をご覧ください。 家庭的で懐かしい香りが漂ってきそうな、和食を中心としたメニューです。

まずは主菜の「肉じゃが」です。 ほっくりと柔らかく煮込まれたジャガイモと、甘みのある人参、そして旨味たっぷりの牛肉。 煮汁の味がしっかりと染み込んでおり、口に入れるとホロリと崩れる柔らかさに仕上がっています。 彩りに添えられたインゲンの緑が、見た目にも食欲をそそりますね。

そして副菜には「カツオのたたき」をご用意しました。 新鮮なカツオの表面をサッと炙り、香ばしさを引き出しています。 上にはたっぷりの薬味、ミョウガやネギ、大葉が添えられており、さっぱりとしたポン酢風味で召し上がっていただきます。 お魚の生臭さを消しつつ、風味豊かに味わえる一皿です。

汁物はシンプルな「すまし汁」。 お出汁の優しい香りが、食事の合間の箸休めとして心を落ち着かせてくれます。

そして、今回ひときわ目を引くのがデザートの「抹茶のケーキ」です。 実はこれ、当法人のデイケアで開催された「お誕生日会」からのお裾分けなのです。 お祝いの席のケーキがこうして届くというのは、まさに「幸せのお裾分け」。 鮮やかな抹茶色のスポンジとクリームの甘さが、お祝いの楽しい雰囲気まで運んできてくれたようで、とても嬉しい一品となりました。

 

エネルギーと栄養のバランス解説

さて、ここからは少し医学的・栄養学的な視点でお話ししましょう。 今日のメニューは、ただ美味しいだけでなく、体を内側から元気にする工夫が詰まっています。

まず注目したいのは「カツオ」です。 カツオには、良質なタンパク質が豊富に含まれています。 タンパク質は、私たちの筋肉や血液、皮膚を作るために欠かせない材料です。 特にご高齢になると、筋肉量が落ちやすくなりますので、お魚やお肉からしっかりとタンパク質を摂ることが大切です。 また、カツオにはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった、血液をサラサラにする働きが期待される良質な脂が含まれています。 これらは体内では作られないため、食事から摂る必要があります。 貧血予防に役立つ鉄分やビタミンB12も豊富ですので、ふらつきが気になる方にもおすすめしたい食材です。

次に「肉じゃが」です。 ジャガイモはエネルギー源となる炭水化物ですが、実はビタミンCも多く含んでいます。 通常、ビタミンCは熱に弱いのですが、ジャガイモのビタミンCはデンプンに守られているため、煮込んでも壊れにくいという特徴があります。 また、人参に含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変わり、喉や鼻の粘膜を健康に保つ働きがあると言われています。 風邪を引きやすいこの季節には、とても頼もしい食材ですね。

 

季節と食養生—本日のメニューを読み解く

ここからは、心と体のつながりについて、少しお話しさせてください。 今回の献立で私が特に素敵だと感じたのは、デイケアから届いたケーキのエピソードです。

昔から日本には「お裾分け」という美しい文化があります。 これは単に物を分けるだけでなく、「福」や「喜び」を周囲の人と分かち合うという意味が込められています。 誰かの誕生日を祝う喜びが、巡り巡って自分の元へ届く。 そうして「嬉しいな」「ありがたいな」と感じて笑顔になる瞬間、私たちの脳内では「オキシトシン」や「セロトニン」といった、安心感や幸福感をもたらすホルモンが分泌されると言われています。

東洋医学や心身医学の視点でも、心の状態は消化吸収に大きく影響すると考えます。 「一人で栄養を摂る」こと以上に、「誰かの温かさを感じながら食べる」ことは、胃腸の緊張をほぐし、食事をより良質な栄養として体に取り込む助けになるのです。 今回のケーキは、まさに心の栄養そのものでした。

もちろん、根菜類で体を温めることや、赤身の魚で血を補うことも大切ですが、こうした「心の温もり」を感じることも、健康を支える大きな柱なのだと改めて感じています。

 

食卓からの小さなエール

季節の変わり目や、寒さが厳しくなる時期は、どうしても活動量が減り、お腹が空きにくくなることがあるかもしれません。 そんな時は、無理をして全部を食べきろうとしなくても大丈夫です。

まずは、温かい「すまし汁」を一口飲んで、胃腸を目覚めさせてあげてください。 そして、お肉やお魚は、いつもより少し多めに噛むことを意識してみましょう。 よく噛むことで唾液がたくさん出ます。 唾液には消化を助けるだけでなく、口の中を清潔に保ち、ウイルスなどの侵入を防ぐ働きもあります。

もし食欲がない時でも、今回のような「お楽しみ」のデザートから手をつけてみるのも良いでしょう。 「美味しい」という感動が、自然と食欲を呼び覚ましてくれることもあります。 暖房の効いた部屋にいると、気づかないうちに体が乾燥していることがありますので、お食事と一緒にお茶もしっかり飲んで、水分補給を心がけてくださいね。

 

皆さまの健やかな毎日に寄せて

温かい肉じゃがの湯気と、幸せのお裾分けケーキが、皆さまの心に小さな灯りをともすことを願っています。 「美味しいね」と誰かと顔を見合わせるような、そんな穏やかな時間が、一番の特効薬かもしれません。 これから寒さが本格化してまいりますが、しっかり食べて、体の中から温かくしてお過ごしください。 皆さまの健康と、穏やかな日々をお祈りしております。

 

【注釈】

※各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

※本記事は一般的なお話であり、個々の診断や治療に代わるものではありません。食事制限や気になる症状がある場合は、必ず主治医や担当スタッフにご相談ください。

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