食事で元気をチャージ。彩り豊かな「焼き肉盛り合わせ」膳
やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。
このお食事は、隣接するサービス付き高齢者向け住宅やショートステイ、デイケアでも提供されています。
入院中の方だけでなく、在宅生活を送られている方や通所利用者の皆さまにも、同じ美味しさと健康を支える食事をお届けしています。
① からだにやさしい本日の一膳
こんにちは。 本日は、当院で提供しているお食事をご紹介します。 入院生活において、食事は治療の一環であると同時に、日々の楽しみのひとつでもあります。 厨房スタッフと栄養科が協力し、患者様の回復を願いながら作った本日のメニューは、こちらです。
・ご飯 ・焼き肉盛り合わせ(玉ねぎ・かぼちゃ添え) ・わかめ中華スープ ・春雨サラダ ・デザート(フルーツのカクテル)
メインとなるのは、食欲をそそる香りが魅力の「焼き肉盛り合わせ」です。 お肉は食べやすい大きさにカットし、特製のタレを絡めて、柔らかく焼き上げました。 お肉の横には、甘みのあるかぼちゃと、味の染みた玉ねぎを添えています。 茶色くなりがちなお肉料理ですが、かぼちゃの黄色が加わることで、見た目にも明るい一皿になりました。
副菜には、つるりとしたのど越しが嬉しい「春雨サラダ」をご用意しました。 お肉料理の合間にさっぱりと召し上がっていただけるよう、酸味を抑えた優しい味付けに仕上げています。 スープは、中華風のわかめスープです。 温かい汁物は、食事の最初に一口飲むことで胃腸を優しく動かし、食事を受け入れる準備を整えてくれます。 そして最後には、お口直しとして角切りのフルーツデザートを添えました。
② エネルギーと栄養のバランス解説
今回の献立には、体を回復させるために大切な栄養素がバランスよく含まれています。 栄養学的な視点から、いくつかのポイントをお話しします。
まず、メインの牛肉や豚肉に含まれる「タンパク質」についてです。 タンパク質は、筋肉や血液、そして免疫細胞を作るための材料となる重要な栄養素です。 病気や怪我からの回復期には、普段よりも多くのタンパク質が必要になると言われています。 また、お肉には鉄分やビタミンB群も豊富に含まれており、これらは貧血の予防や、疲労回復を助ける働きが期待されています。
付け合わせの「かぼちゃ」も見逃せません。 かぼちゃの鮮やかな色は、β-カロテンという成分によるものです。 β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、喉や鼻の粘膜を丈夫にして、ウイルスの侵入を防ぐ手助けをしてくれると考えられています。 また、ビタミンEも含まれており、血行を良くする働きがあるとも言われています。
そして、副菜の「春雨」や「わかめ」です。 「春雨は炭水化物ですが、つるっとしたのど越しで食欲がない時でもエネルギー源として摂取しやすい食材です」 わかめなどの海藻類には、不足しがちなミネラルや食物繊維が含まれており、お腹の調子を整えるのに役立ちます。
このように、しっかりとしたエネルギー源となるお肉と、体の調子を整える野菜や海藻を組み合わせることで、回復に必要な力を効率よく取り入れられるよう工夫しています。
③ 季節と食養生—本日のメニューを読み解く
ここからは少し視点を変えて、東洋医学的な考え方も交えながら、この献立の良さをお伝えしたいと思います。
『医食同源』という言葉があります。これは中国の『薬食同源』の思想に基づき日本で生まれた言葉で、病気を治す薬も、日常の食事も、源は同じであり、日々の食事が健康を作る基礎であるという考え方です。これは、病気を治す薬も、日常の食事も、源は同じであり、日々の食事が健康を作る基礎であるという考え方です。 この視点で見ると、今回のお肉料理はとても理にかなっています。
牛肉は、東洋医学では「甘(かん)・温(おん)」の性質を持つとされています。 これは、胃腸の働きを助け、気(き=エネルギー)と血(けつ=栄養を含んだ血液)を補う力があるという意味です。 手術後や長引く病気で体力が落ちている時、あるいは足腰の冷えを感じる時に、牛肉は体を内側から温め、力を養ってくれる食材として重宝されてきました。
一緒に調理されている「玉ねぎ」も大切な役割を持っています。 玉ねぎには、滞った気を巡らせる働きがあると言われています。 気が巡ると、体全体の機能がスムーズに動き出し、胃腸の働きも活発になります。 また、体を温める性質もあるため、お肉との相性は抜群です。
一方で、お肉料理はどうしても味が濃厚になりがちですし、体に熱をこもらせすぎることがあります。 そこでバランスを取るのが、副菜やデザートです。 デザートのフルーツや、サラダに含まれる野菜には、体に潤いを与え、余分な熱を冷ます働きを持つものが多くあります。 「温める食材」と「冷ます食材」を上手に組み合わせることで、体に負担をかけすぎず、中庸(ちゅうよう=偏りのないバランスの良い状態)を保つことができるのです。 今日の献立は、まさに元気を補いながら、全体のバランスを整える構成になっていると言えるでしょう。
④ 食卓からの小さなエール
入院中のご高齢の患者様の中には、「お肉は硬くて食べにくい」「最近、あまりお腹が空かない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。 当院では、そうしたご不安にも配慮して調理を行っています。
今回のお肉は、繊維を断ち切るように切り方を工夫し、じっくりと加熱することで、噛む力が弱くなっている方でも食べやすい柔らかさに仕上げています。 もし、それでも飲み込みにくいと感じる場合は、遠慮なくスタッフにお声がけください。 一口サイズに刻んだり、とろみをつけたりと、その方に合った形に調整させていただきます。
また、食欲がわかない時は、無理をしてすべてを食べる必要はありません。 まずは、温かいスープを一口飲んでみてください。 次に、口当たりの良い春雨サラダや、甘みのあるかぼちゃを少しだけ口に運んでみてください。 「美味しいな」と感じるものを、少しずつ食べていただくだけでも、体にとっては十分な栄養となります。 食事は「しなければならないもの」ではなく、「体への贈り物」です。 ご自身のペースで、ゆっくりと味わっていただければと思います。
季節の変わり目は、気圧や気温の変化で体調を崩しやすい時期でもあります。 そんな時こそ、温かく栄養のある食事で、内臓を冷やさないようにすることが大切です。 しっかりと噛んで食べることは、脳への刺激にもなり、生活のリズムを整えることにもつながります。
⑤ 皆さまの健やかな毎日に寄せて
窓から差し込む光に、少しずつ次の季節の気配を感じる頃となりました。 食事を通して得たエネルギーが、皆様の体の中で小さな灯となり、健やかな回復へとつながることを心より願っています。 今日も穏やかな一日をお過ごしください。
【注釈】
※各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。
※本記事は一般的なお話であり、個々の診断や治療に代わるものではありません。食事制限や気になる症状がある場合は、必ず主治医や担当スタッフにご相談ください。

















