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2026.03.02

東洋病院 今日の献立 第27回

心と体に元気を届ける、彩り豊かな「お寿司の献立」

やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。
このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。

からだにやさしい本日の一膳

日ごとに日差しが和らぎ、春の足音が聞こえてくる季節になりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

病院での生活において、お食事は一日の中でもっとも楽しみな時間の一つですよね。当院では、栄養はもちろん、見た目でも季節の移ろいを感じていただけるよう工夫を凝らしています。

本日のメインは、「卵の巻き寿司といなり寿司」です。 黄色い薄焼き卵で巻かれたお寿司と、ふっくらと甘く炊いたいなり寿司が並びます。その上には、宝石のようにキラキラした「とびっこ」を添えました。

副菜には、かぼちゃ、里芋、厚揚げの「煮物」をご用意。お出汁の優しい香りが鼻をくすぐります。 そして、翡翠(ひすい)のように美しい緑色の「お豆腐料理」と、温かい「お味噌汁」。

最後のお楽しみ、デザートは今が旬の「いちごのババロア」です。 淡いピンク色のババロアの上に、真っ赤ないちごのソースが重なり、春の喜びを凝縮したような一皿です。

 

エネルギーと栄養のバランス解説

この献立には、私たちの元気を支える大切な栄養が詰まっています。

まず、お寿司のご飯(炭水化物)は、体と脳を動かす「エネルギーの源」です。 そして、卵やお豆腐、いなり寿司のお揚げには、良質な「タンパク質」が豊富に含まれています。タンパク質は、筋肉を維持し、病気に負けない強い体(免疫細胞)を作るための「土台」となる栄養素です。

煮物に入っている「かぼちゃ」には、ビタミンAやビタミンEが含まれています。 ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持を助け、乾燥しやすい春先の体を内側からサポートしてくれます。ビタミンEは抗酸化作用をもち、細胞を酸化ダメージから守る働きが期待されています。

そして、デザートの「いちご」です。 いちごは「ビタミンCの宝庫」です。10粒ほど食べるだけで、一日の推奨量(100mg)をほぼ補えるほどです。ビタミンCは、ストレスへの抵抗力を高め、鉄分の吸収を助ける働きも期待されています。

「おいしそう!」という感動は、消化液の分泌をスムーズにし、これらの栄養をより効率よく吸収する手助けをしてくれます。

 

季節と食養生本日のメニューを読み解く

私は普段、西洋医学の知見に加え、東洋医学や「心の健康」という視点からも治療を考えています。

東洋医学では、春は「肝(かん)」という、自律神経や代謝を司る場所が活発に動く季節とされています。冬の間に溜め込んだものを外に出そうとする時期ですが、一方で気温の変化により、心身が少し不安定になりやすい時期でもあります。

そんな時、今日のお膳にある「黄色(卵・かぼちゃ)」と「赤色(いちご・とびっこ)」は、とても良い働きをしてくれます。

  • ・黄色:胃腸(脾)を穏やかに整え、エネルギーを補う色です。
  • ・赤色:心(しん)に活力を与え、血の巡りを助ける色とされています。

東洋医学では、「優しい甘み」は脾(消化器)を穏やかに整え、緊張をほぐし、心をリラックスさせると考えられています。また、東洋医学では、春に高ぶりやすい感情を、お寿司の「お酢」に含まれる爽やかな酸味が優しく鎮めてくれると考えられています。なお、酸味の摂り過ぎは逆効果になる場合もありますので、適量を心がけてください。

食事を単なる栄養補給としてだけでなく、自分の心をいたわる「マインドフルな時間」として味わう。そんなひとときが、質の良い眠りや、穏やかな回復へとつながっていくのです。

 

食卓からの小さなエール

「最近、少し食欲が落ちてきたな」と感じることはありませんか? 季節の変わり目は、ご高齢の方にとって、体調管理が難しい時期でもあります。

今日のようなお寿司は、一口サイズで食べやすく、お米の程よい水分が飲み込みを助けてくれます。 また、デザートの「いちごのババロア」は、喉ごしがとても滑らかです。食欲がわかない時でも、ひんやりとした口当たりの良いババロアなら、スッとお腹に入っていくのではないでしょうか。

もし全部食べられなくても、大丈夫です。 「今日はババロアがおいしかったな」「煮物の色がきれいだったな」と、何か一つでも心に残るものがあれば、それは立派な養生になります。

無理をせず、ご自身の体と相談しながら、楽しいと感じる範囲でお箸を進めてみてくださいね。

 

皆さまの健やかな毎日に寄せて

三寒四温の折、どうぞ暖かくしてお過ごしください。 皆様の毎日が、おいしいお食事と共に、笑顔と安らぎに満ちたものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

【注釈】

各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

本記事は一般的なお話であり、個々の診断や治療に代わるものではありません。食事制限や気になる症状がある場合は、必ず主治医や担当スタッフにご相談ください。

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