ブログ

2026.03.23

東洋病院 今日の献立 第30回

心と体にやさしい「今日のごはん」:お酢の力で元気を養う

 

やさしい味付けと彩りのバランスが、目にも心にも食欲を運んでくれます。病院食というと「味気ない」という印象を持たれがちですが、当院の献立は家庭的な温かみと栄養バランスの両方が整った一食です。
このお食事は隣接するサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイやデイケアでも提供されています。入院中の方だけでなく、在宅生活を送る高齢者や通所利用者様も、同じ美味しさと健康サポートを受けられるのです。

からだにやさしい本日の一膳

今日のご紹介する献立のメインは、彩り鮮やかな「酢豚」です。 ゴロゴロとした豚肉に、ピーマンや人参、玉ねぎ、椎茸といったお野菜を合わせました。甘酸っぱい餡(あん)が全体を包み込み、食欲をそそる香りが漂います。お肉は噛み切りやすいように工夫して調理されており、お野菜もしっかりと火を通して柔らかく仕上げています。

副菜には、「高野豆腐とインゲンの煮物」をご用意しました。 出汁をたっぷりと吸った高野豆腐は、お口の中でじゅわっと旨みが広がります。添えられたインゲンの鮮やかな緑色が、食卓に彩りを添えてくれますね。

汁物は、ホッとする味わいの「中華スープ」です。 具材の旨みが溶け出した温かいスープは、胃腸を優しく温めてくれます。

そして主食は、ふっくらと炊き上げた白い「ご飯」です。 おかずの味がしっかりしているので、ご飯も進むことでしょう。

最後にお口直しとして、「りんごのゼリー」を添えました。 透明感のある淡い黄緑色のゼリーは見た目にも涼やかで、食後のひとときを爽やかに締めくくってくれます。

 

エネルギーと栄養のバランス解説

この献立には、健康を維持するための栄養素がバランスよく含まれています。

まず、メインの酢豚に使われている**「豚肉」**です。 豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1は、ご飯などの炭水化物をエネルギーに変える手助けをしてくれる栄養素です。疲れを感じやすいときや、活力を補いたいときには積極的に摂りたい成分と言われています。

また、味の決め手である「お酢」には、食欲を増進させる働きがあります。体調があまり優れないときでも、酸味があることでお箸が進みやすくなります。お酢の主成分である酢酸(さくさん)は、体内でエネルギー源として利用されるほか、体の回復をサポートする役割があるとも考えられています。

副菜の高野豆腐は、実は非常に優れた健康食品です。 豆腐を乾燥・熟成させて作る高野豆腐には、タンパク質が凝縮されています。また、カルシウムや鉄分といった、ご高齢の方に不足しがちなミネラルも豊富です。植物性のタンパク質は体に優しく、筋肉の維持にも役立つとされています。

デザートのりんごゼリーは、つるんとした喉越しが特徴です。 食欲がないときでも食べやすく、ビタミンCや水分を補給するのに適しています。

 

季節と食養生本日のメニューを読み解く

東洋医学の考え方では、春から初夏にかけては「肝(かん)」という臓器が活発に働く時期とされています。この時期は、自律神経が乱れやすかったり、なんとなく体が重だるく感じたりすることがあります。

そんな時、東洋医学では「酸味」のある食べ物が良いとされています。 酸味には、高ぶった気を鎮めたり、体に必要な水分(津液)を保持したりする働きがあると考えられているからです。今日のメインである酢豚の「酸っぱさ」は、まさにこの時期の体のリズムを整えるのにぴったりの味付けと言えるでしょう。

また、煮物に使われている高野豆腐などの豆製品は、胃腸を健やかに保つ助けになると言われています。 しっかりとお出汁で煮含めることで、消化も良くなります。病院食では、消化に負担をかけずに栄養を効率よく吸収できるように、調理法にも細心の注意を払っています。

季節の変わり目は、気温の変化に体がついていくのが大変な時期です。 食事を通じて体の内側から巡りを整えることは、病気に負けない体作りの第一歩となります。無理にたくさん食べる必要はありません。一口一口を大切に味わうことが、体にとっての良い薬になると信じています。

 

食卓からの小さなエール

皆様、毎日の食事を美味しく召し上がれていますか? 年齢を重ねるにつれて、一度に食べられる量が少なくなったり、飲み込みにくさを感じたりすることもあるかと思います。

当院のお食事は、そのような変化に寄り添えるよう工夫しています。 例えば、今回のような酢豚も、餡に「とろみ」をつけることで、具材がバラバラにならずにお口の中でまとめやすくなっています。これは、誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」を防ぐための工夫でもあります。

「今日はあまり食欲がないな」と感じる日もあるでしょう。 そんな時は、全部を食べようと思わなくても大丈夫です。まずはスープを一口、あるいは喉越しの良いゼリーを一口。それだけでも体への栄養になります。 見た目の彩りを楽しんだり、お出汁の香りを嗅いだりすることも、脳への良い刺激になります。

もし、お食事の中で「硬くて食べにくい」「味が薄すぎる(または濃すぎる)」といったことがあれば、どうぞ遠慮なくスタッフにお伝えください。皆様が安心して、笑顔でお食事の時間を迎えられることが、私たちの何よりの喜びです。

 

皆さまの健やかな毎日に寄せて

窓から見える景色も日ごとに色鮮やかになってまいりました。 皆様の毎日が、美味しい食事とともに、健やかで心穏やかなものでありますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

【注釈】

各個人様にお出しするお食事は、体の状態や医師の指示により内容が変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。

本記事は一般的なお話であり、個々の診断や治療に代わるものではありません。食事制限や気になる症状がある場合は、必ず主治医や担当スタッフにご相談ください。

関連施設

  • 東洋病院通所リハビリテーション
  • グループホーム千寿園
  • ショートステイ幸鈴園
  • サービス付き高齢者向け住宅幸鈴園
  • 在宅ケア サポートファミリー